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「地蔵と地獄」展
池田市にある逸翁美術館で「地蔵と地獄展」を見てきました。 「逸翁」というのは阪急電鉄の創業者・小林一三氏の雅号で、彼が集めた美術品を中心に展示会を企画しています。今回は美術館が所蔵する「地蔵十王像」が重要文化財に指定されたことを記念して開かれた展示会で、龍谷ミュージアムや香雪美術館などが所蔵するものも含めて展示されています。 [![地蔵と地獄 展示会size320](images/lb00216/A_00216400_000001.jpg)](images/lb00216/A_00216400_000001.jpg) 写真は展示会のパンフレットで、地蔵と十王がデザインされています。 十王とは、人が亡くなったあと行く黄泉(よみ)でその人の生前の行状に応じて裁きをする十人の王を言います。みなさんがよく知っている閻魔大王はその代表です。 地蔵像を見ると左手に宝珠というパワーストーンを持っていますが、展示されていた三種の地蔵像はどれも宝珠を透明に描いていました。絵画で透明を表すのは(鎌倉~室町時代に描かれたものでは)相当な高等技術だと思うのですが、どれも透明に見えるのでたいしたものだと感心しました。 ほかに地獄絵「和字絵入往生要集」がいくつも展示されていましたが、どれもリアルな表現で地獄の恐ろしさを伝えており、むかしの人たちはこれを見て悔い改める効果が絶大だと感じました。でも当時の民衆は「今さら悔い改めても間に合わない、地獄に落ちるのは免れない」と感じる人が多かったでしょう。それを救ってくれるのがお地蔵さまで、庶民の信仰を集めた理由が分かります。 逸翁美術館の「地蔵と地獄」展は、6月9日まで展示されています。
掲載日: 2024-05-28 (C137)