- ブログ一覧に戻る
- < 現在の表示 (15/28)
- >
お地蔵さまと宗旨の関係 その2
豊中市内に祀られているお地蔵さまの中で、曹洞宗の寺院に祀られている事例がたくさんあります。市内の寺院数に対してお地蔵さまを祀っている寺院の比率は他宗よりも高いのですが、その理由については、寺院の住職さまや関係者の方にお聞きしても、明確なご説明をいただく事が出来ませんでした。 そこで、曹洞宗のホームページから質問をさせていただいたところ、曹洞宗宗務庁より次のようなご説明をいただきました。 【曹洞宗宗務庁からいただいたご説明】 日本曹洞宗の開祖である、道元禅師(1200〜1253)ご自身は、地蔵信仰を積極的に勧める姿勢は見られませんでした。しかし、徹通義介禅師(1219〜1309)の時代には、仏殿を建て礼仏を取り入れるなど積極的な改革が行われ、瑩山紹瑾禅師(1268〜1325)の時代になると、現世利益的な要素を含むご供養がおこなわれるようになりました。そして、瑩山禅師のお弟子さまの時代、峨山韶碩禅師(1275〜1366)の時代になると、「神人化度」説話の導入が見られるようになり、その影響から、峨山禅師のお弟子さまの時代には、地蔵信仰を活用するものが現れ、更に孫弟子さまの時代(1400年代)になると、積極的に活用され、各地方に流布していったと見做されています。 「神人化度」とは、霊験譚的な説話の中でも、特に、禅僧が、山神や土地神などをも弟子にするという形式の説話であり、曹洞宗が、各地方地域に伝搬していく過程で、その地域ごとの土着の神々にも、曹洞宗の禅僧が、承認を得、受け容れられていく図式を形作ったものであります。そうした各地域の尊崇対象として、お地蔵さまもまた信仰の対象とされたものと思われます。 上記の内容などに関しまして、詳しく論じた書籍として、清水 邦彦著『中世曹洞宗における地蔵信仰の受容』岩田書院 (2016)刊などが御座いますので、詳細は、そうした冊子などをご参考になさって下さい。《曹洞宗総務庁のご説明 ここまで》 曹洞宗が他の宗派よりもお地蔵さまを大切にされていることについて、歴史的な背景があることがわかりました。 豊中市内でお地蔵さまが寺院境内で祀られている状況(宗派ごとの数)については、お地蔵さまのブログ「お地蔵さまと宗旨の関係」をご覧下さい https://hokusetsu-archives.jp/cms/ozizousama/page/blog/51 北摂アーカイブスの「お地蔵さま」に関するブログの一覧は、こちらをご覧ください https://hokusetsu-archives.jp/cms/ozizousama/blog
掲載日: 2022-03-25 (C137)